CLANNAD Invitation の OP/EDネタバレおぼえがき

 なぜかTVアニメ「Kanon」DVD全巻購入特典として,頒布された非売品。ようやく手許に届いたので,ノンテロップOPとノンテロップEDについてメモしておきます。もともと個人的な備忘録なので(だから,何度でも加筆する),ネタバレ全開です。あしからず。
 

ノンテロップオープニング

  • OP「メグメル〜cuckool mix 2007〜」(作詞:riya/作曲:eufonius/編曲:菊地創/歌:eufonius):石原立也監督インタビュー(「キャラ☆メル」2007年2号)によると,「元の曲だと,ゆったりとしたテンポの印象があった」ので,作曲者に「スピーディーな印象に作り直して」もらったとのこと。
  • そして,肝心のオープニング映像は,「後々のネタとかを散りばめてます」という石原監督の上のインタビューでの発言通り,原作ゲームからの引用が際立っている。京アニAIR」や京アニKanon」,「涼宮ハルヒの憂鬱」のオープニング映像と同じコンセプトということか。

  • 「透き通る夢を見ていた」〜「僕を呼んでいる」
    • いきなりすごいネタバレだ! 原作ゲーム冒頭の「プロローグ」。原作では漠然としたイメージしかなく,プレイヤーの想像に任せられていた幻想世界の「終わり」が,見事に映像化されている。ちょうど下記の箇所の忠実な再現。良い仕事。


(一面の雪の世界に,人が歩いてきた跡がなぞられている)

一面,白い世界…
………
雪…
そう,雪だ。
今なお,それは降り続け,僕の体を白く覆っていく。
ああ…
僕はこんなところで何をしているのだろう…。
いつからこんなところに,ひとりぼっちで居るのだろう…。
………。
雪に埋もれた…僕の手。
それが,何かを掴んでいた。
引き上げる。
真っ白な手。
女の子の手だった。
ああ,そうだった…。
僕はひとりきりじゃなかった。


(『CLANNAD』共通シナリオ・プロローグ)

    • しかも,このとき幻想世界の少女の手をとるラクタ人形のデザインは,「CLANNADイメージボーカルアルバム"ソララド"」のものと同じ。京アニさんは,よく分かっていらっしゃる。

ソララド

ソララド

    • そして,「高い空から僕を呼んでいる」というボーカルにかぶせて,ガラクタ人形の首がギギギとわずかに空のほうを向く。ガラクタ人形のそばには,降り積もった雪の中にこんもりと盛り上がった箇所があるが,そこにはさっきガラクタ人形が手を掴んだ少女が埋もれている(はず)。

    • ついでにいえば,「メグメル」のこの部分の歌詞は,「永遠」「夢」「風」「空」といった,Tactics/Key歴代の作品―「ONE〜輝く季節へ〜」「Kanon」「AIR」を想起させる言葉が散りばめられていて,いかにも「Kayにとって,ストーリーの集大成」(麻枝准氏が繰り返し発言している)にふさわしい幕開けと思わずにはいられない。

  • 「このまま飛び立てば」〜
    • 原作ゲームをコンプリートするとメニュー画面に現れる,今でも諸説紛糾しているあの重大シーン。春の木立の下で眠る白いワンピースの少女。そして,彼女を見付けた赤い服の「小学生じゃない」誰かさん(ふうちゃん)。

    • そして,青空に向けて視界が急展開するとき.プリズムのように見せかけて,さりげなく光の球が浮かび上がっている。ここから再び光の球が飛び立つというのは,とても素晴らしいオリジナル解釈。

「誰かに起こされるのを待ってるんです」

(『CLANNAD』AFTER STORY 3周目・エピローグ)

    • ということは,京アニCLANNADは,ここまで描き切るつもりなのか。本気なのか。

  • 〜「どこにだって行ける」
    • 菜の花畑を笑顔で駆けまわる小さな子供(岡崎汐)の姿。AFTER STORY 3周目 ENDのときの一枚画が,動いてますよ!

    • わざわざ駆ける女の子の影にカメラを回しているのは,何か深い意味があるのだろうか。たとえば,実はあの影は汐だけではなく,幻想世界の少女をも意味しているということ,とか?(突拍子もないわけではない)


…ずっと,そばにあった。わたしたちは,ずっとそこにいたんだよ。
…同じ場所にいたの。
…ただ,見え方が違うだけ。

(『CLANNAD』幻想世界Ⅻ)

    • やっぱり,京アニCLANNADは,ここまで描き切るつもりなのか。すごいぞ。

  • 「重ねた」〜
    • 古河渚の立ち絵が,原作のオープニング・ムービーと同じポーズで登場。

    • 挿入されている場面は,おそらく,(1)創立者の一人劇でスポットライトを浴びている後ろ姿→(2)演劇部で部長扱いされて遠慮してしまう姿(多分)→(3)雪の中に埋もれるようにして倒れている小さな子供(どう考えても,AFTER STORYの某回想シーンです)→(4)おなじみの私服姿で両手に力を込めながら話しかけてくる姿(何て言っているのか,ちょっと分からないので,場面が特定できない。「あんパンっ」と「カツサンドっ」ではない台詞+昼間の路上),という順番。

  • 「小さな未来が」〜
    • 藤林杏の立ち絵が,原作のオープニング・ムービーと同じポーズで登場。

    • 挿入されている場面は,おそらく,(1)ボタン(ウリ坊)を抱きかかえている立ち姿→(2)なぜかバイク通学で下校する杏と岡崎朋也の後ろ姿→(3)バスケの3on3を練習している体育服姿→(4)ちょっと待ってください,このシーンもあるんですか?と言わざるを得ない,緑の生い茂る場所で立ち尽くす杏の姿,という順番。

  • 「光の中」〜
    • 一ノ瀬ことみの立ち絵が,原作のオープニング・ムービーと同じポーズで登場。

    • 挿入されている場面は,おそらく,(1)花が咲き誇る一ノ瀬邸のに並ぶ白いテーブルと二つの椅子→(2)青空の中を駆け巡るハープの弦(京アニさんは,分かっていらっしゃる)→(3)学園の中庭でヴァイオリンを弾きながらうっとりしている立ち姿→(4)丘の上で風に吹かれる「たんぽぽ娘」!(アニメ・オリジナル。京アニさんは,本当に分かっていらっしゃる),の順番。

「この世界を形作っているのは,目には見えないほど小さな,たくさんのハープだ」

「君はタイムマシンでここに来たんだね」

(『CLANNAD一ノ瀬ことみシナリオ)

  • 「言葉も」〜
    • 坂上智代の立ち絵が,原作のオープニング・ムービーと同じポーズで登場。

    • 挿入されている場面は,おそらく,(1)創立者祭を歩き回る謎のクマのぬいぐるみ(中の人などいない)→(2)学園の桜並木を見上げる智代さん→(3)うん,と頷いてみせる智代さん(どの場面かちょっと分からない)→(4)桜舞い散る中,車椅子を押す誰かの足許(この車椅子は,『智代アフター』ではなく,『CLANNAD』の場面ですね),の順番。

  • 「はるかな」〜
    • 伊吹風子の立ち絵が,原作のオープニング・ムービーと同じポーズで登場。

    • 挿入されている場面は,おそらく,(1)校舎の廊下に☆なヒトデの木彫りを抱えてたたずむ後ろ姿→(2)☆なヒトデの木彫りを片手に,教壇からびしっと何かを指さす姿(古河渚の演劇部復活計画の途中で,異議あり!」と弁護人役で颯爽と登場するときの場面か?)→(3)校舎の廊下で小首をかしげる姿→(4)両手いっぱいの☆なヒトデの木彫りを抱えて,差し出そうとする寸前の姿,の順番。

【女生徒】「あの,それと…」
騒ぐ俺たちを前に,少女は言葉を続けていた。
【女生徒】「お願いがあります」
【女生徒】「もしよろしければっ…」

(『CLANNAD伊吹風子シナリオ・エピローグⅡ)

  • 「残さず」〜

    • (1)「グッドエッチ!」と指を突き立てる春原陽平→(2)トランプを広げる藤林椋→(3)資料室でオムライスを料理する宮沢有紀寧→(4)「やれやれ」なポーズをとる春原芽衣→(5)道を歩く伊吹公子芳野祐介の後ろ姿→(6)学園寮に住み着いているネコ(志 摩くん)と遊ぶ相楽美佐枝→(7)草野球に精を出す古河秋生(銜え煙草なところは,京アニさん,さすが分かっていらっしゃる)→(8)学習塾の案内が載った回覧板を手に持つ古河早苗,の順番でカットインし,

    • (9)真夏の向日葵畑にぽつんと佇む小さな子供(岡崎汐)の背中姿が一瞬挿入される。


  • 「きっと」〜
    • 桜舞い散る中,後ろ姿ではなく,振り返って微笑んでいる古河渚の制服姿ということは…。

    • 右→左→右の順で彼女の姿が移動していく。表情の移ろいも細やかで,心情の機微をうまく表現している。大変情報量が多い。

見上げる坂の向こうは…光に包まれていた。
「えへへ…」
渚の笑顔が…
大好きな笑顔が…消えていく。
光がまぶしくて,まぶしくて…。

(『CLANNAD』AFTER STORY 3周目)

    • そして,締めくくりは,幻想世界から光の球がどんどん舞い上がっていく情景。光の移ろいでシーンの連続性が保たれている。原作オープニング・ムービーからの引用。幻想世界に始まり,幻想世界に終わる。

    • おそらく,絵コンテを切ったのは石原立也監督なのでしょうが,オリジナルカットを含めて,今回の京アニCLANNAD」のオープニングの映像からは,京アニAIR」にも増して,原作に寄り添おうとする姿勢が推察され,凄みすら覚えます。

 

ノンテロップエンディング


「あれは万人向けです。子供っぽいというわけではないと思います」
「幼児向け番組の歌じゃないかよ」
「そうですが,今では国民的なキャラクターと言いますか,大人の人にも人気あると思います」
「あの,だんご大家族って…もしかして,一昔前に流行ったあれですか?」
「ああ,そうだよ。こいつ,未だにそれが大好きなんだよ」

(『CLANNAD古河渚シナリオ)

小さな家族で歌った唄があった。
彼女の口が小さく動いていた。
その唄を歌っていた。

(『CLANNAD』幻想世界Ⅻ)

    • dango.wavです。「CLANNAD」とは,"CLANN As Dango"のことなのです(え)。
    • 「渚」→「だんご大家族」→「小さな手のひら」と繋がっていくのは,素晴らしい。

    • 楽曲と歌詞(特に最後の一節「うれしいこと かなしいことも ぜんぶまるめて」)は,ともにシナリオの根幹にかかわるとんでもなく重要なものです。NHKみんなのうた」もどきだというのに,原作ファンの中には,第1話の放映前からこのEDだけで泣き出す人がいるというのも,理解できる。

 

まとめ

  • 思わずメモを作ってしまいましたが,とにかく本放送が楽しみですね。それだけしか言いようがないです。