Tactics/Key諸作品におけるファンタジー世界観〜時系列の共鳴・共振ないし円環構造,もしくは共時性〜(目次)
本論は,『ONE〜輝く季節へ〜』『Kanon』『AIR』『CLANNAD』『リトルバスターズ!』各作品におけるファンタジー世界観について,(1)シナリオ相互の時系列に関する現象,あるいは(2)登場人物たちの想念による共時(シンクロ)に関する現象に着目し,その概観を試みることによって,Tactics/Key諸作品のシナリオ読解の一助とすることを目的とする。
基本的に,拙稿は,過去のweb上の先行文献を踏まえつつ,Tactics/Keyゲーム評論集『永遠の現在』(2007年8月,theoria,C72)に収録されている諸論考で示された知見を受けて,書き下ろされたものである。
- Tactics/Key諸作品におけるファンタジー世界観〜時系列の共鳴・共振ないし円環構造,もしくは共時性〜(その1 07/09/19)
- 第1章 本論の目的
- 第2章 Tactics/Key諸作品のファンタジー世界観Ⅰ―『ONE〜輝く季節へ〜』の場合―
- 1.あらゆる既成概念を拒絶する「永遠の世界」メカニズムの抽象性
- (1) 長森瑞佳シナリオを中心にした検討
- (2) シナリオ横断的な解釈の不可能性
- (3) 「永遠の世界」という呼称自体の抽象性
- 2.現象として地続きな,しかし生活世界と遊離する「永遠の世界」
- 3.人の想念が生み出す実在世界としての「永遠の世界」
- 4.「永遠の世界」と生活世界の原則的な時制〜追想の物語〜
- 5.「永遠の世界」と生活世界の例外的な時制〜時系列の共鳴・共振〜
- (1) ぼくは「永遠の世界」から,生活世界のきみを追想する
- (2) オレは生活世界から,「永遠の世界」のぼくを既視する
- (3) 共通シナリオ〜惹かれ合う生活世界と「永遠の世界」〜
- (4) 長森瑞佳シナリオ〜擬似的兄妹関係の終焉と反動〜 (シナリオ担当:麻枝准)
- (5) 七瀬留美シナリオ〜「水たまり」で跳ね回る子供から大人へ〜 (シナリオ担当:麻枝准)
- (6) 椎名繭シナリオ〜きみは,かつてのオレと似ている〜 (シナリオ担当:麻枝准)
- (7) 上月澪シナリオ〜兄の罪悪感と幸福への躊躇―長森瑞佳シナリオとは異なるアプローチで〜 (シナリオ担当:久弥直樹)
- (8) 川名みさきシナリオと里村茜シナリオ〜生活世界に「永遠の世界」のぼくがいる〜 (シナリオ担当:久弥直樹)
- (9) 小まとめ〜時制の乱れを誘発する時系列の共鳴・共振ないし円環構造〜
- 6.「永遠の世界」の終幕〜きみとぼくの想念が共時(シンクロ)するラストシーン
- 1.あらゆる既成概念を拒絶する「永遠の世界」メカニズムの抽象性