テレビアニメ『CLANNAD』(BS-i)第03話「涙のあとにもう一度」ネタバレおぼえがき(その2)
関東圏・TBSでの放送から3週間遅れ(実質4話遅れ)の挙句,さらにBS-iでの放送からタイムラグがあるという,ひどく執筆のモチベーションが下がりっぱなしな箇条書き。何が得られるのかは,やってみないと分からない。長文を速記できる才能がほしい(切実に)。でも,がんばる。一応,テレビアニメ版・京アニ『CLANNAD』に関する言及のつもりである。(それでも原作のネタバレ注意)
2.「勇気を出して…」「がんばって手,振って」の視線と表情,声色を追いかけてみる
第3話「涙の後にもう一度」Aパートで描写された,どしゃ降りのグラウンド以来となる岡崎朋也と古河渚の再会シーンについて,第1話「桜舞い散る坂道で」Aパートとの対比を踏まえながら,まじまじと箇条書きしてみようというのが,今回の趣旨である。
【朋也】「ん…?」
・その前を通り過ぎ,何かが視界に飛び込んだ岡崎朋也の背中。思わず振り向く。
・校舎の窓から,中庭でパンをかじる古河渚を見下ろす岡崎朋也の構図。
※第1話「桜舞い散る坂道で」Aパートの場面と対比になっているが,前回の岡崎朋也は同じ高さの1階から彼女を見かけていた。
【朋也】「………」
【朋也】「おっ,見ろよ」
【女の子】「…え?」
【朋也】「こっちを見てる」
【女の子】「………」
【朋也】「しょぼくれた顔してちゃ,友達もできないぞ」
【朋也】「笑って,手を振ってみろよ」
【女の子】「えっ…」
【朋也】「ほら,にっこり笑顔だ」
【女の子】「…えへへ」
笑いながらぱたぱたと手を振る。
【女の子】「あっ…」
すっ,と屋上の人影が消えた。
【朋也】「気づかなかったか…」
【女の子】「わたし,教室でも影が薄いですから…」
(TVA・京アニ『CLANNAD』第1話「桜舞い散る坂道で」Aパート)
※第1話「桜舞い散る坂道で」Aパートの場面と対比になっているが,前回(無表情)よりも今回(沈鬱)のほうが,古河渚の表情がより暗い。前回は校舎を見上げる古河渚の横に岡崎朋也はいたが,今回は彼女を見下ろす側に立ち位置が変わっている。
・そんな沈鬱な表情で昼食をひとりで摂っていた古河渚だったが,
【古河】「ぁ…」
・あんパンをかじろうとした拍子に,校舎の人影が視界に映り込み,
【古河】「あっ…」
・それが岡崎朋也だということに気付く。
【古河】「ぅ…」
・ところが,弱気になっていた彼女は,一瞬,視線が泳ぐ。
・それでも,これではいけないと思い直した古河渚は,泳いでいた視線を止める。
【古河】「…っ……っ」
・自分を励ますときのおまじないとして,食べ物の名前をつぶやく。
・こうして古河渚は精一杯の勇気を振り絞って,
【古河】「えへへ…」*1
・片手を挙げると,
・手を振りながら,頑張って,岡崎朋也に向けて笑顔を作ってみせたわけである。
第1話で古河渚が校舎に向かって手を振ったときは,誰にも気付いてもらえなかったけれど,今度は気付いてもらえた。そして,岡崎朋也としても,「笑って,手を振ってみろよ」というかつて自分が口にした言葉に誠実であるためには,ここで駆け付けてみせなければならないことは勿論である。
台詞や独白,身動きは小さくても,視線と表情,声色は雄弁に物語っている。これは,絵コンテの段階で、相当細かく芝居が描き込まれていたのではないだろうか。
TVA・京アニ『Kanon』でもそうだったが,Tactics/Key諸作品のテレビアニメ版(京都アニメーション制作)には,原作ゲームでは実況調一人称の地書きで施されていた登場人物の微細な心情の移ろいを,カメラワークの視点切り替えや,登場人物の視線や表情,あるいは沈黙時の声色に仮託した無言劇で映像再現しようとする傾向がある。その点を踏まえながら観ていくと,深読みに耐えれるだけの見所を発見することができ,視聴の面白味が増すかもしれない。(文責:ぴ)
4.世界の見方が広がり始めた岡崎朋也〜生活世界と幻想世界Ⅱが指し示そうとするもの〜
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*1:返ってくるかもしれない反応に対する不安が滲み出た,しかも微妙に裏返っている作り笑いっぷりは,大したものではないだろうか。